『源氏物語』とパーソナルカラー(?)

こんにちは。iro-laboの丹治です。
今年の春NHKで放送されたドラマ「いいね!光源氏くん」。
『源氏物語』は何かしらの形で耳にすることが多いですね。多方面で話題に上る中から、パーソナルカラーにかかわる?話をしてみたいと思います。

年の暮れに、主人公光源氏が深くかかわる女君たちの新春用に、紫の上が用意した中から衣装を選んで贈る場面があります。
「衣配り(きぬくばり)」と言われるところです。(22帖玉鬘)光源氏35歳の頃。場所は六条院(春:紫の上 夏:花散里 秋:秋好中宮 冬:明石の上が住んでいます)。

この場面を漫画『あさきゆめみし』大和和紀著より引用すると、

紫の上「お正月のものもあれこれとできあがっておりますの。どれもよく仕上がっておりますから・・・みなさまに・・それぞれお似合いになるものをお選びになってさしあげてくださいまし」
源氏「なるほど・・悪い人だ。選ぶ衣装で着る人の器量を推しはかろうとのお心ですね」
紫の上「まあそんな」
源氏「まあいいでしょう。見ていてごらんなさい。まずあなたには」

ということで紫の上をはじめ、明石の姫君、花散里、玉鬘、末摘花、明石の上、空蝉へと衣装を選んでいくわけですが、ここでは紫の上(27歳)、明石の上(26歳)に注目してみます。

源氏が紫の上に選んだのは、
紅梅のいといたく文浮きたるに、葡萄染(えびぞめ)の御小袿、今様色のすぐれたる(原文)
で、今様色(当時の流行色で紅花染の色)の袿を重ねた上に、葡萄染(赤みのある紫)という衣装。『あさきゆめみし』の源氏によれば、「紅梅を織りだした葡萄染(赤紫色)の小袿に紅梅色(濃いピンク)の表着(うわぎ)を重ね、いかにも現代風でしゃれていてあなたにはお似合いだ」となります。



対して明石の上には、
梅の折枝、蝶、鳥飛びちがひ、唐めきたる白き浮文に、濃きが、つややかなる具して(原文)
で、濃き(紫)の袿を重ね着した上に、唐風(ハイセンス)の白い小袿。『あさきゆめみし』の源氏によれば、「明石の君には唐風の織りの白がいいな。それに濃い紫の襲・・・あの人なら着こなせるだろう」となります。



源氏が選んでいる中、紫の上はその衣装を見ながらそれぞれの女君を想像しているわけですが、明石の上の気品の高い装いを見て、紫の上は嫉妬します。
その思いは新年の挨拶回りで的中!?女君たちは、元日にこれらの衣装を着て源氏を待っているわけですが、源氏が明石の上を訪ねた際、黒髪が白の小袿にかかっている様子に見とれてしまい、紫の上が気になりながらも明石の上のもとに泊まってしまいます。(23帖初音)

紫の上の「類似の調和」VS.明石の上の「対照の調和」
紫系統の中、イメージの違いで個性の演出?もちろんそれぞれの個性は、この色だけですべてを語ることはできませんが、『源氏物語』の中で衣装の色は、単に外見的な容姿を描くものではなく、それぞれの人たちの個性を具体的に示して見せるもの、人柄を象徴するものになっていると言えるでしょう。

興味を持った方、他の女君の衣装も見てみてくださいね。
私たちが学んでいるパーソナルカラーに新たな視点が加わりそうな、『源氏物語』からのお話でした。



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