目に見えないもののほうが美しく染まる⁈
こんにちは。iro-laboの丹治です。
今年、桜、見ましたか?
このような状況ですので、「お花見しましたか」と言えないのが残念ですが。
桜の花を話題にするとき、満開なのか散った後なのかがとても気になるのは私だけ?
世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
在原業平 古今和歌集
(この世に桜がなかったら、花が咲くのをまったり散るのを残念がったりすることもなく、春の人の心はのんびりすることでしょう。)
という歌もありますし、ニュースや天気予報でも頻繁に取り上げられるので、日本人なら「桜」気になっているはず!って思っています。
色彩検定3級公式テキスト慣用色名のトップを飾る?「桜色」。
満開の山桜の花のような淡いピンクの色名。・・・染色の色名としては紅染めの中で最も淡い色調の色、と記されています。あ、ソメイヨシノの色じゃなかったんだ!ということはさておき、「紅染」つまり桜で染めた色ではなくてベニバナで染めた色なんだ、、、と思った人も多いことでしょう。
世の中にはきれいな色の花がたくさん咲いていますが、その花びらからその色がとれるものは本当に少ない。染色技術が発達し「桜染め」といって「桜色」に染められている場合でも、その材料は桜の花ではなく枝。周りにたくさんの緑(の植物)があっても、昔は葉っぱで緑色を染めることはできず、緑色に染めたければ、黄色(刈安など)と青(藍)を重ねたわけです。
テキストで「桜色」の次に載っている「茜色」。
これは植物染料ですが、茜色の花が咲くわけではありません。アカネ(赤・根)からも想像できますが、根っこが原料です。因みに花は小さく白い。紫色を染める「紫草」も原料は根っこで、花は可憐な白い花。
目に見えるそのままの色のものは良く染まらず、目に見えない(根のような)もののほうが美しく染まる、、、目に見えないものに大事なことが・・・!?
植物染料って 深い!
桜色はごく薄い紫みの赤ですが、紅花で濃く染めたら、鮮やかな「韓紅花(からくれない)」。紅花の色素を濃度を高くして作る口紅は玉虫色に輝いています。
江戸時代に流行した「笹紅」は下唇がこの玉虫色=緑がかった色。上唇が赤だから上下で補色!?興味を持った方、浮世絵でも探してみてください。
広がる色の世界。
おうち時間、一人静かに身の回りの色に目を向けてみるのもいいですね。
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