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夏のスペシャルメルマガ第1弾!「色と絵画」

こんにちは、サミュエルのカラーリストの池田です。

私はもともと彫刻関係を扱う美術画廊で働いていて、
アート関係は全般大好きなのですが、色に興味がある
皆さんも好きな絵画やアーティストがいるのではないでしょうか。
今回は夏休みのメルマガということで、色と絵画をテーマにしたいと思います。

絵画と色といえば、「色彩の解放・色彩革命」とまで言われ、日本人は特に好きと
言われる印象主義について書きたいと思います。

今でこそ私たちは画材屋さんに行けば、さまざまな色を購入し使うことが可能ですが、
一昔前は色材を揃えること、また絵の具を持ち運ぶことはとても大変なことでした。
というのも昔は色材を揃える場合は、自然のもの(植物や鉱物)を使うしかなかったので、
鮮やかな色を沢山使うのは、それだけ原料が必要なのでコストも高価!でした。
(なので画家はお金を出してくれるパトロンがいないと職業としては成り立たなかったのです)

特に18世紀までの絵画には、鮮やかな黄色の絵の具がほとんど見られなかったのですが、19世紀にかけて新しい顔料が増え画家のパレットには様々な色材がそろうようになりました。

また、絵の具も豚の膀胱に絵の具を詰めていたものが、(絵の具のウインナー状態ですね…気持ち悪い!)産業革命以降ブリキのチューブが用いられるようになり、絵具の持ち運びは格段と楽になり、そうしたツールが揃った時代に合わせたように印象派の画家が活躍するようになるのです。

印象派は、19世紀後半、カミーユ・ピサロとクロード・モネ、オーギュスト・ルノワールを中心に
フランスでおこった革命的な絵画運動をさし、特に1874年のモネの作品「印象・日の出」
見た新聞記者は紙上で酷評しました。



それは従来の重々しい伝統的な絵画に慣れた人たちには、粗削りで未完成に映ったため、
皮肉を込めて「印象派」といわれるようになったそうです。

印象派は、「光は常に一定ではなく、色彩も時間とともに変化する」とし、時間の変化や
陰翳による色の変化を見事に表現したもので、それは固有の色を否定し、
光に照らされて変化していく「色彩の移ろい」を描くことがテーマでした。

そのため、印象派の画家たちは、同時代に活躍した色彩化学者のシュブルールが発表した
「同時対比の法則」を使って色材の混色による減法混色ではなく、色を併置する併置混色
使うことで明るさを保とうとしたり、また「補色どうしの対比が「明るさ」を生む」と
シュブルールが説いたことで、補色を多用して、特に光の黄色に影を補色ので描きくことで、
明るさを強調しています。(モネは「日傘をさす女」で光の影を紫に書いています。)

印象派というと、穏やかで明るい画風なので、優しいイメージを持つ方も多いかと思いますが、
実は西洋絵画の伝統である遠近法の否定であり、一点透視主義の否定であり、
固有色の否定という、絵画のスタイルとしてはこれまでの伝統をすべて否定する、
かなり革命的なスタンスというのが驚きですね。また印象派、という名前のイメージから
かなり感覚的に書いているのかと思いきや、実はその時代の最先端の色彩理論を
つかってかなり緻密に計算されて出来上がったものでもあるのです。

色彩検定1級では、こうした色の歴史も勉強することになります。
歴史というと、名称や時代の年号などの暗記ものをイメージして嫌悪感を抱く人も
多いかもしれませんが、「値千金」だった色が、どうやって一般の人も
楽しめるようになったかということが理解できます。

「ただただ暗記する」だけの勉強ではなく、その背景まで探ってみると私たちが当たり前に
使って楽しんでいる色が、実は昔から当たり前だったわけではなく、さまざまな人たちが
命がけで行ってきたことの積み重ねの結果だと知ることが出来、改めて
色を自由に楽しめることのありがたさを感じることが出来ます。
機械的にただ覚えるだけではもったいないので、ぜひそんな視点で色の勉強をしてみてくださいね。



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